イタリアンレストランのメニューを開いたときや、SNSで美味しそうなピザの写真を見かけたとき、「あの生ハムと緑の野菜がたっぷり乗ったピザ、なんて名前なんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。塩気が絶妙な生ハムと、少し苦味のあるルッコラの組み合わせは、一度食べると忘れられない美味しさですよね。でも、いざ注文しようとすると「マルゲリータ」のような決まった名前が見当たらず、戸惑ってしまうことも少なくありません。実は、このピザには世界共通の絶対的な「固有名詞」が存在しないケースも多いのです。とはいえ、イタリア語での一般的な呼び方や、使われている具材の知識を持っておけば、お店でのオーダーがスマートになりますし、自宅でのピザ作りやデリバリー選びもぐっと楽しくなります。今回は、そんな「生ハムとルッコラのピザ」にまつわる名前の秘密や、より美味しく楽しむための豆知識を、ピザが大好きな私が徹底的にリサーチしてご紹介します。
- 生ハムとルッコラのピザの一般的なイタリア語名や注文時のポイントがわかる
- 「真のナポリピッツァ協会」が定める伝統的な定義とバリエーションの違いを理解できる
- 相性抜群のチーズやトッピング具材を知り、自分好みのカスタマイズができるようになる
- 冷めてしまったピザを、フライパンひとつで焼きたてのような食感に温め直す方法を知れる
生ハムとルッコラのピザの名前と正式な定義
「このピザ、正式にはなんて呼ぶのが正解なの?」そんな疑問を解消するために、まずは名前の由来や、ピザの本場イタリアにおける位置づけについて詳しく見ていきましょう。私たちが普段何気なく呼んでいる名前の裏には、実は明確な定義と、自由なバリエーションの世界が広がっているんです。
プロシュート・エ・ルッコラのイタリア語名

結論から申し上げますと、生ハムとルッコラをトッピングしたピザは、イタリア語で「プロシュート・エ・ルッコラ(Prosciutto e Rucola)」と呼ばれることが最も一般的であり、これが実質的な「名前」として機能しています。
この名前は、使われている主要な具材をそのまま並べただけの非常にシンプルなものです。
- Prosciutto(プロシュート):イタリア産の生ハムのこと。
- e(エ):イタリア語で「〜と(and)」を意味する接続詞。
- Rucola(ルッコラ):独特の風味を持つハーブ、ルッコラのこと。
お店やシェフのこだわりによっては、言葉の順序が入れ替わり「ルッコラ・エ・プロシュート」と表記されていたり、単に「プロシュート」というメニュー名で、説明書きに「ルッコラ添え」と書かれていたりすることもあります。
オーダー時のポイント
メニュー表に「生ハムとルッコラのピザ」という日本語が見当たらない場合は、イタリア語のメニュー欄から「Prosciutto」と「Rucola」という単語を探してみてください。この2つの単語が含まれているピザが、あなたの探しているそのピザである可能性が非常に高いですよ。
協会が定める伝統的なピッツァの種類

「でも、マルゲリータやマリナーラのように、歴史的な由緒ある名前はないの?」と気になる方もいらっしゃるでしょう。これについては、ピザの歴史と伝統を守る国際的な機関の規定を知ると、理由が見えてきます。
ナポリピッツァの伝統を保護・継承するために設立された「真のナポリピッツァ協会(AVPN)」の国際規定には、「生ハムとルッコラのピザ」という特定の固有名詞は明記されていません。
協会が「伝統的なナポリピッツァ」として公式に認定し、具体的なレシピや名前を挙げているのは、主に以下の歴史的なピッツァです。
| ピッツァの名前 | 主な特徴と定義 |
|---|---|
| マリナーラ (Marinara) | トマト、オリーブオイル、オレガノ、ニンニクのみを使用。チーズを使わない最も古くシンプルなピッツァ。「漁師風」という意味があります。 |
| マルゲリータ (Margherita) | トマト、モッツァレラチーズ、バジル、オイルを使用。イタリア王妃に捧げられたとされる、イタリア国旗(赤・白・緑)を模したピッツァ。 |
もちろん、協会はこれ以外のピッツァを認めていないわけではありません。「ナポリピッツァの伝統に根ざし、食の規範に矛盾しないバリエーション」として、多様なトッピングを認めています。つまり、生ハムとルッコラのピザは、伝統的な生地や製法をベースにしつつ、美味しい食材を組み合わせた「人気のバリエーションメニュー」という位置づけなのです。
詳細な規定や伝統的なピッツァの定義については、協会の公式サイトでも確認できます。
(出典:真のナポリピッツァ協会 AVPNジャパン『真のナポリピッツァ協会 公式サイト』)
具材となるプロシュートや生ハムの特徴

ピザの主役である「生ハム」についても、少し深掘りしてみましょう。イタリア料理で使われる生ハムは、一般的に「プロシュート(Prosciutto)」と呼ばれます。
私たちが日本のスーパーでよく見かける「ロースハム」などの加熱ハムとは異なり、プロシュートは豚の後ろ脚を塩漬けにし、長期間(1年〜2年ほど)吊るして乾燥・熟成させて作られます。加熱処理を行わないため、肉本来の鮮やかなピンク色と、ねっとりとした妖艶な食感、そして凝縮された旨味が特徴です。
パルマ産とサンダニエーレ産
特に有名なのが「パルマ産プロシュート」と「サンダニエーレ産プロシュート」です。これらは産地呼称保護(DOP)を受けており、厳しい基準で作られています。ピザに使われる場合、これらの高級な生ハムが惜しげもなく乗せられていると、それだけでご馳走感が格段にアップしますね。
加熱にご注意
美味しい生ハムであるほど、熱には敏感です。ピザと一緒にオーブンで焼いてしまうと、せっかくの滑らかな食感が失われ、単なる塩辛い焼き肉になってしまいます。そのため、ピザが焼き上がった「後」に乗せる(アフターベイク)のが、プロシュートを美味しく味わう鉄則です。
トッピングのルッコラやベビーアルグラ
もう一つの主役である緑の葉野菜、「ルッコラ」についても詳しく見ていきましょう。日本では「ルッコラ」というイタリア語名ですっかり定着していますが、英語圏のレシピやメニューでは「アルグラ(Arugula)」や「ロケット(Rocket)」と表記されることもあります。
ルッコラはアブラナ科のハーブで、噛むとゴマのような香ばしい風味と、ピリッとした独特の辛味が口の中に広がります。この辛味が、こってりとしたチーズや、塩気の強い生ハムの脂をさっぱりと洗い流してくれるため、ピザのトッピングとしてはこれ以上ないほどの相性を発揮するのです。
ピザに使われるのは、成長しきった葉よりも、柔らかくて口当たりの良い「ベビーリーフ」状の若いルッコラ(ベビーアルグラ)が好まれます。プロシュートと同様、このシャキシャキとした食感とフレッシュな香りを楽しむために、焼き上がった熱々のピザの上に、生のままふんわりと乗せて提供されるのが一般的です。
ピザとピッツァの定義や発祥の違い
ここで少し話題を広げて、「ピザ」と「ピッツァ」という言葉の違いについても整理しておきましょう。普段は同じ意味で使っていますが、厳密にはその発祥やスタイルに文化的な違いがあります。
| 項目 | ピッツァ(Pizza) | ピザ(Pizza) |
|---|---|---|
| 発祥・ルーツ | イタリア(特にナポリ)が発祥 | イタリア移民がアメリカで広めたもの |
| 生地の特徴 | 小麦粉、水、酵母、塩のみを使用。手で伸ばし、薪窯で高温短時間で焼く。 | 砂糖や油が入ることもある。綿棒で伸ばすこともあり、オーブンでじっくり焼く。 |
| 食べ方 | ナイフとフォークを使って食べるのが基本(一人一枚)。 | あらかじめカットされ、手で掴んで食べる(シェアする)。 |
「生ハムとルッコラのピザ」は、素材の味をシンプルに楽しむという点で、イタリアの「ピッツァ」のスタイルに近いメニューと言えます。しかし、現在ではアメリカンスタイルの宅配ピザ店でも定番メニューとして取り入れられており、両方の良さを融合させた形で日本独自の進化を遂げているとも言えるでしょう。
生ハムとルッコラのピザの名前を知り楽しむ
名前や定義、具材の背景がわかったところで、次は実際に食べる時にもっと美味しく楽しむための実践的な知識をご紹介します。生地の種類による食感の違いや、相性の良いチーズの組み合わせを知れば、あなたにとっての「最高の一枚」に出会えるはずです。
ナポリ式やローマ式の生地の食感と特徴

イタリアンレストランで注文する際、お店によって生地のスタイルが異なることに気づくかもしれません。大きく分けて「ナポリ式」と「ローマ式」があり、どちらも生ハムとルッコラにはよく合いますが、食感の好みは大きく分かれます。
ナポリ式:もちもち食感が好きな人へ
ナポリ式の最大の特徴は、ピザの縁(コルニチョーネ)がふっくらと膨らんでいることです。空気をたっぷり含んだ生地は、外はカリッと、中は「もちもち」としています。生地自体にほのかな塩気と小麦の香りがあり、生ハムの塩気と合わさることで、口の中で絶妙なハーモニーを奏でます。食べ応えを重視するならこちらがおすすめです。
ローマ式:サクサク食感でお酒を楽しみたい人へ
一方、ローマ式は生地を綿棒で薄く伸ばして焼くため、全体的に平らで縁の膨らみがほとんどありません。食感は「サクサク、パリパリ」としており、クリスピータイプとも呼ばれます。軽やかな口当たりなので、ワインやビールのおつまみとして、スナック感覚でペロリと食べられてしまいます。具材の食感をダイレクトに感じたい方にぴったりです。
アメリカのピザの種類や地域ごとのスタイル
アメリカンスタイルのピザにも、地域ごとにユニークな特徴があります。生ハムとルッコラを合わせる場合の相性も考えてみましょう。
- ニューヨークスタイル:直径45cm以上もある巨大な薄焼きピザ。一切れを縦に折りたたんで食べるのが流儀です。シンプルで生地の主張が強すぎないため、生ハムとルッコラのトッピングとも比較的相性が良いでしょう。
- シカゴスタイル:深皿(ディープディッシュ)を使って焼く、まるでケーキのような厚みのあるピザです。たっぷりのチーズとトマトソースが特徴ですが、生ハムのような繊細な具材を乗せるには少々ボリューミーすぎるかもしれません。
一般的に、生ハムとルッコラのようなフレッシュな具材を楽しむなら、生地が厚すぎず、具材の味を邪魔しない薄めの生地(クリスピータイプやハンドトス)を選ぶのがベターです。
モッツァレラなど相性の良いチーズと具材
ベースとなるチーズや、追加のトッピングを変えることで、生ハムとルッコラのピザはさらに美味しく進化します。ここでは鉄板の組み合わせをご紹介します。
王道のモッツァレラチーズ
やはり基本にして最強なのは「モッツァレラチーズ」です。加熱して溶けたモッツァレラのミルキーで優しい味わいが、生ハムの強い塩気をまろやかに包み込んでくれます。クセがないため、ルッコラの香りも引き立ちます。
大人味のゴルゴンゾーラやパルミジャーノ
少し変化をつけたいなら、青カビチーズの「ゴルゴンゾーラ」をアクセントに加えるのもおすすめです。独特の刺激と香りが、ワイン好きにはたまりません。また、食べる直前にハードチーズの「パルミジャーノ・レッジャーノ」を薄く削りかけると、コクと旨味が爆発的に増します。
フルーツとの意外なマリアージュ
生ハムはフルーツとも相性が良いことで知られていますが、ピザでもそれは同じです。例えば、「イチジク」や「桃」などをトッピングに加えると、甘じょっぱい味わいがクセになるデザート感覚のピザになります。リコッタチーズと合わせ、蜂蜜を少したらして食べるのも絶品ですよ。
日本の宅配ピザや人気ランキングの傾向
日本におけるピザの楽しみ方といえば、やはり宅配ピザは外せません。ドミノ・ピザやピザハットなどの大手チェーンも、日本の食卓に合わせて様々な工夫を凝らしています。
2024年のドミノ・ピザの人気ランキングを見てみると、1枚で4種類の味が楽しめる「クワトロ・2ハッピー」が1位を獲得しており、多様な味を一度に楽しみたいという日本人のニーズが伺えます。しかし、2位にはシンプルな「マルゲリータ」がランクインしており、素材の味を楽しみたい層も確実に存在することがわかります。
宅配ピザの「後のせ」システム
最近の宅配ピザでは、生ハムやルッコラ、フレッシュバジルなどの繊細な具材を、焼いたピザとは別のパックに入れて届けてくれるお店が増えています。これは、熱で野菜がしんなりしたり、生ハムに火が通り過ぎたりするのを防ぐための素晴らしい工夫です。届いたら自分でトッピングして完成させるのも、楽しいイベントの一つですね。
冷めたピザをフライパンで美味しく温める

テイクアウトしたり、パーティーで頼みすぎたりして、ピザが冷めてしまった経験は誰にでもあるはずです。電子レンジで温めると、水分が飛んで生地が硬くなったり、逆にふにゃふにゃになって残念な食感になりがちです。
そこで、私が強くおすすめしたいのが、「フライパン」と「少量の水」を使った蒸し焼き法です。この方法なら、まるで焼きたてのようなカリッとした食感と、とろけるチーズを復活させることができます。
- フライパンに乗せる:油は引かずに、冷めたピザをそのままフライパンに並べます。
- 水を数滴垂らす:弱火から中火にかけ、フライパンが温まってきたら、ピザにかからないように端っこの空いているスペースに水を小さじ1杯ほど入れます。
- 蓋をして蒸し焼きにする:すぐに蓋をして、1〜2分ほど蒸し焼きにします。中の蒸気でチーズが溶け、フライパンの熱で底面がカリッと焼けます。
もし生ハムやルッコラが乗っている場合は、温める前に一度お皿に取り避けておき、温め終わってから再び乗せるのがベストです。こうすることで、フレッシュな食感を損なわずに温かいピザを楽しめます。
生ハムとルッコラのピザの名前に関するまとめ
今回は「生 ハム ルッコラ ピザ 名前」というキーワードで検索されている方に向けて、その名前の正体や、より深く楽しむための知識をご紹介してきました。たとえ協会が定めた厳格な歴史的固有名詞がなかったとしても、「プロシュート・エ・ルッコラ」という響きには、素材への敬意と美味しさが詰まっています。
最後に、この記事の重要なポイントを改めてまとめます。
- 一般的なイタリア語名は、具材を並べた「プロシュート・エ・ルッコラ」
- 「真のナポリピッツァ協会」の規定には、固有名詞としての記載はないが、人気のバリエーションとして認められている
- 生ハム(プロシュート)とルッコラは、風味を守るために「後のせ(アフターベイク)」が基本
- 冷めてしまったピザは、フライパンで蒸し焼きにすることで劇的に美味しく復活する
次にイタリアンレストランや宅配ピザを利用する際は、ぜひメニューの中から「プロシュート」や「ルッコラ」の文字を探してみてください。そして、生地の食感やチーズとのハーモニーを心ゆくまで楽しんでいただければと思います。あなたのお気に入りの一枚が見つかりますように!



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